【禅の教えに学ぶ】
“ひとり力”を鍛えて、
ひとり時間を楽しむ習慣

禅に学ぶ! ひとり時間の楽しみ方
家族といても、ひとり暮らしをしていても、
誰もが時には孤独や不安を感じることがあるもの。
そんなときに心の支えになり、
ひとりの時間も楽しめるようになる
禅の教えや習慣について、
観音院の住職・来馬正行さんに伺いました。
教えてくれた人:
来馬正行(くるま・しょうぎょう)さん
一人一人、
生きる力をちゃんと持っている

東京・武蔵野市にある観音院。
住職の来馬正行さんは、
毎朝、参禅会の方たちと1時間半ほど掃除を行っています。
「禅寺では掃除は修行の一環。
丁寧に工夫を重ねることで、
心のゆとり“功徳(くどく、良き人柄)”が
身についていきます。
こうしてほうきで落ち葉を掃くと、
目に見えてきれいになるという
結果がすぐに表れて、楽しいんですよ」
観音院を訪れる人たちは、
ひとり暮らしの方、
家族と暮らす方などさまざま。
50代60代の方も多くいます。
「仏教では、人間の体にはこれまでの経験や
生活が全部記憶されている、
という考え方があります。
人間は生きてきた分、
それだけの経験を持っているということ。
そして一人一人、
生きる力をちゃんと持っている。
それぞれが日々の暮らしを工夫し、
小さなことでも自分のできることを見つけて、
いつもそれを全うする姿勢が大事。
経験豊かな大人世代の方々は、
そういう後ろ姿を見せる生き方が
できる人たちなのです」と言います。
ひとり力を鍛える習慣1:ご縁
人生は、一期一会。
“また”はなし。“ご縁”を大切に生きましょう

人生はさまざまな「ご縁」で成り立っています。
いつ何が起こるかわからない日々、
「また」があると思わずに、
出会った現実の出来事に精いっぱい相対する。
目の前の人に心を込めて
一杯のお茶を入れる「喫茶去(きっさこ)」。
そうした積み重ねが人生を
豊かなものにしていきます。
ひとり力を鍛える習慣2:よき行為
よき行為は、よき結果を実現します。
自らの内面を見て、
自分の力を信じることが大切。
何事も正直な姿勢が大切な力になります
仏教には、「人間の体は、よいことも悪いことも、
これまでの経験や生活を全部記憶している」
という考えがあります。
だからこそ一つ一つの行為が大切。
自分の内面を見て、
よい行為をすればよい結果につながり、
人格も向上していきます。
ひとり力を鍛える習慣3:清める
毎朝、歯を磨き、顔を洗って一日を始める。
自分を清めれば、
清浄さが心に宿ります

道元禅師の『正法眼蔵』の「洗面の巻」では
「内外倶淨(ないげぐじょう)なるとき、
依報(えほう、環境)正報(しょうほう、自己)
清浄(しょうじょう、清められる)なり」と記されています。
自分自身を清潔にすることは、
心も清められる大切な習慣。
朝、起きたら顔を洗い、歯を磨く。
すると、
次にこんなことをしてみようと意欲が湧き、
生活が充実していきます。