2025/4/25

水にぽんと入れるだけでマイクロプラスチックを除去できる「マイクロクリーナー」が登場

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

水にぽんと入れるだけで

マイクロプラスチックを除去できる

「マイクロクリーナー」が登場

 

 

 

 

 

ペットボトル飲料食塩に大量の

プラスチック粒子が入っていることが調査で

判明するなど、

 

マイクロプラスチックは健康や環境への

影響が懸念されています。

 

新しく、水に入れるだけで水中の

マイクロプラスチック粒子を捕獲し、

 

その後水面に浮かび上がってきて

マイクロプラスチックごと回収できる

「マイクロクリーナー」を開発したとの

論文が発表されました。

 



ノースカロライナ州立大学の研究グループが

2025年3月25日付の学術誌・

Advanced Functional Materialsで発表した

マイクロプラスチック除去剤は、

 

貝類の殻や甲殻類の外骨格などに含まれている

キチンから作った生体ポリマーの

「軟質樹枝状コロイド(SDC)」でできています。

 



細かく分岐した構造を持つSDCは、

ヤモリの足の裏が壁に貼り付くのと同じ

分子間の力である「ファンデルワールス力」で

マイクロプラスチックをかき集められるほか、

 

わずかに正に帯電しているキチンの

性質のおかげで、

 

負に帯電したマイクロプラスチックを

静電気の力で効果的に吸着することが可能です。

 

 

 

 

 

ノースカロライナ州立大学の化学・生体分子工学者で、

論文の責任著者のオーリン・ベレフ氏は

「この研究で使用されている浄化粒子は、

 

貝類を加工する際の廃棄物から得られる

キチンが原料の生分解性ポリマーである

キトサンでできています。

 

このような、海から得られる環境にとって

安全な材料を使うことで、

 

私たちのプラスチック回収技術は

より持続可能なものとなります」と話しました。

 



しかし、

マイクロプラスチックが含まれる大量の水に

SDCを散布するのは困難で、

マイクロプラスチックが絡まったSDCは

水の底に沈むので回収も容易ではありません。

 

 


そこで、

研究チームはまずSDCを含む液滴を

はっ水性の素材の表面で乾燥させ、

 

小さなペレット状に固めました。

 

そして、

ペレットの一部に植物由来のオイルである

オイゲノールを塗布しました。

 



研究チームがオイルを塗ったのは、

SDCペレットの一部の表面張力を低下させて

マランゴニ効果

 

いわゆるいわゆる「樟脳(しょうのう)船効果」を

発生させるため。

 

 

おもちゃのボートのようにペレットが

水面を動き回りつつ、

少しずつ水に溶けることにより、

SDCがまんべんなく水中に散布されるようになりました。

 

 

 

 

 

さらに、

研究チームはSDCにゼラチンで

コーティングしたマグネシウムを添加しました。

 

前述の通り、

SDCは水に沈みますが、

ゼラチンがゆっくり溶けてマグネシウムが

水と触れると、

小さな気泡が発生してSDCが水に浮かびます。

 



これにより、

水に入れると自動的に水中に

マイクロプラスチック除去剤を散布し、

 

その除去剤がプラスチック粒子を絡め

取りながら水底に沈んで、

 

最終的に水面に浮かんできて容易に

回収できるようにする

「マイクロクリーナー」が完成しました。

 

 

 

 

 

 

研究チームは、プラスチックごみが

大量に漂着することで有名なハワイの

カミロビーチで採取された海水を使用して、

 

マイクロクリーナーがさまざまな大きさの

マイクロプラスチックを回収できることを実証しています。

 

 

 

 

 

研究チームによると、

回収されたマイクロクリーナーの塊を

キトサンに加工し、

 

再びマイクロクリーナーを生産する

構想もあるとのこと。

 



ヴェレフ氏は「回収したスカムを

バイオプロセスでキトサンに加工し、

 

それを使ってマイクロクリーナーをさらに

製造することで、

より多くのマイクロプラスチックを

捕捉できるようになる可能性があります」と

話しました。

 

 

<参考:>