<重要なのは「寿命」ではなく、
「健康寿命」...。
長寿遺伝子発見者による、
アンチエイジングの最前線から>
長寿遺伝子発見者による、
最新研究と衝撃の提言書
『SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる』
(CCCメディアハウス)の第2章
「なぜ老いるのか」より一部編集・抜粋。
重要なのは寿命(ライフスパン)ではなく、
健康寿命(ヘルススパン)...。
わたしが老化科学の研究を始めたころ、
摂取カロリーを減らすと寿命が延びるという説が
世界中の研究室で検証されていた。
ふだん食べている量を減らすことを
「カロリー制限」という。
動物実験では、老化を遅くし、
平均寿命や最高寿命、
そして健康寿命を延ばすのに再現可能な
効果がもっともあることがわかった。
何年ものあいだカロリー制限が
遺伝科学の中心となってきたのは、
それまで発見されたなかで、
大幅に寿命を延ばし、
加齢性疾患の発症を遅らせると
信頼できる唯一の方法だったからだ。
わたしたちは、
さまざまなげっ歯類で容易に再現できる実験で、
ラットの摂取カロリーを40%制限してみた。
すると、
カロリー制限されたラットは、
自由裁量で好きなだけ餌を食べたラットよりも
約40%長生きした。
この結果に世界中の研究室が色めきたち、
カロリー制限で最高寿命が延びる理由を探りはじめた。
わたしたちの発見をまとめると、
カロリー制限は、
げっ歯類の加齢性病変、
がん、その他の加齢性疾患を減らし、
ほとんどの生理的機能の
速度を落とすことがわかった。
つまり寿命だけでなく、
健康寿命も延びるのである。
さらにうれしいのは、
人間にも同じような効果がたしかに
あると考えられることだった。
ただ、わたしは2型糖尿病の専門医なので、
人々にとってカロリー制限がどんなに
難しいかよく知っている。
どの患者にも体重を減らすようにと
指示するのだが、
それができる人は3%以下だ。
もしカロリー制限が人間にもラットと
同じぐらい効くのなら、
制限が効くメカニズムを特定し、
それほどカロリーを減らさなくてもよい薬や
治療法を開発する必要があるだろう。
いわば疑似カロリー制限だ。
大半の人はどんなにがんばっても、
ふだんの食事量から毎食40%のカロリーを
減らしつづけることはできないだろう。
なんとかやっている人については、
わたしはいつもこう言っている。
「必ずとは言えませんが、
たぶん長生きできると思いますよ」