2023/10/8
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「日本人」、じつは「酒が飲めなくなる」ように進化していた |
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「日本人」、じつは「酒が飲めなくなる」ように進化していた…その「驚きのワケ」「生まれ持った遺伝的な体質」は 変えられる! 最新科学が示す 「日本人が健康になる秘訣」とは? 親から受け継いだ遺伝子は 生涯変わらないから、 がん、糖尿病、認知症、高血圧、肥満など、 さまざまな病気のリスクや体質は 「遺伝的なものだし仕方ない」と 思っていませんか。 しかし、 近年のゲノム生物学の進歩によって、 生活習慣や環境で遺伝子の働きが変わり、 「病気のなりやすさ」も変わることが 明らかになってきています。 日本人の遺伝子と体質の特徴を 捉えていくと、 どうすれば遺伝的なリスクを 抑え健康に過ごせるかが見えてきます。 酒に弱いほうが生存に有利だった? 一人一人の体の設計図、 すなわちゲノムは、 わずか0・1%しか違わないと報告されています。
けれども、 よくみればDNAが1文字だけ異なる 一塩基多型(SNP)をはじめ、 細かな違いが無数にあって、 SNP1個で体質が がらりと変わることもあります。
では、 日本人のゲノムにはどんな特徴があり、 その特徴はどのように作られてきたのでしょうか。
本章で取り上げるのは、 第1章で出てきた図1‒4の(1)にあたる、 基本的に生涯変わらない部分です。
2020年に興味深い論文が 公表されました。
日本人17万人のゲノムをもちい、 遺伝子変異が起きた時期と、 それがどのように伝わってきたのかを コンピューターを駆使して探索したものです。
すると、 過去1万~2万年のあいだに 変異が起きた遺伝子のうち、 29個が世代をへるごとに それぞれ一定の方向に体の特性を 変化させてきたことがわかりました。
このなかでもっとも強い動きが 「酒に弱くなる方向への進化」でした。
飲めるようになるならともかく、 飲めなくなるなんて進化といえるのかと 思った人がいるかもしれませんが、 ここでいう「進化」は日常会話で使う 「進化」とは意味が異なります。
専門用語では適応進化といい、 生存に有利な特性を獲得することを指します。
つまり、 日本人は酒に弱いほうが生存に 有利だったということです。
いったい、なぜでしょうか。
稲作は7000~8000年前に、 現在の中国を流れる長江が 東シナ海にそそぐ地域で 始まったと考えられています。
じつは、 ここは酒に弱い人の割合がもっとも高い 地域でもあるのです。
図2‒1の2枚の地図をくらべてみてください。
飲んだアルコールは肝臓で分解されて アセトアルデヒドという有害物質に 変わりますが、 酒に弱い人はアセトアルデヒドを 分解する酵素を作る力が低いため、 アセトアルデヒドが体に長くたまります。
さまざまな病原体の温床となった水田
水田は実りをもたらす一方で、 古い時代にはさまざまな病原体の 温床となりました。
たとえば、 肝臓に重い障害が起きる日本住血吸虫症は、 水田や湿地に暮らすミヤイリガイという 小さな貝が媒介します。
貝の中で増えた日本住血吸虫の幼虫は 水温が上がると水中に泳ぎ出し、 素足で水田に入った人の皮膚から侵入します。
高熱を繰り返すマラリアも同様です。 マラリアを媒介するハマダラカの幼虫も 水田や湿地で暮らし、 成虫が人から吸血する際に マラリアの病原体が人の体に入ります。 酒に弱い日本人は有害物質アセトアルデヒドが 血液に多くとけているため、 侵入した病原体が活発に活動できない 可能性があります。 その結果、 酒に弱いほうが生きのびやすかった のではないかという説が提唱されています。
<参考:奥田昌子医学博士>
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