「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」
「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」
「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……
若い頃は気にならなかったのに、
いつの頃からか、
もの忘れが激しくなってきた。
「ちょっと忘れた」というレベルではなく、
「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、
もう当たり前。
それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。
けれど、ちょっと待った!
それは、まったくの勘違いかもしれないのです。
そこで参考にしたいのが、
認知症患者と向き合ってきた
医師・松原英多氏の著書
(ダイヤモンド社)
若い人はもちろん高齢者でも、
「これならできそう」「続けられそう」と思えて、
何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、
脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと
長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
知っておきたい
「糖質」「血糖」「血糖値」
糖尿病と認知症の関わりについて見てみましょう。
糖尿病と動脈硬化・認知症との関連を語る前に、
まずは「糖質」「血糖」「血糖値」について
正しく理解しておく必要があります。
糖質は、
脳の神経細胞をはじめ、
全身の細胞の基本的なエネルギー源です。
そのため、
いつでも体内で利用できるように
「血糖」として血液中を循環しています
(血糖とは、細かくは血中のブドウ糖[グルコース]のことです)。
「糖質」ってなんだろう?
また、
ひと口に「糖質」といっても、
さまざまな種類があります。
ごはんやパン、
麺類といった主食に多く含まれているのは
「デンプン」ですが、
これはブドウ糖を無数に連ねたものです。
お菓子などに含まれる砂糖の主成分は
「ショ糖」ですが、
これはブドウ糖と果糖(フルクトース)が合体したものです。
果糖はその名の通り、
果物に多く含まれています。
「血糖値」ってなんだろう?
食事に含まれるこうした糖質も、
体内の筋肉や肝臓に蓄えられている
糖質(グリコーゲン)も、
最終的には全身の細胞がエネルギー源として
利用しやすい血糖につくり替えられます。
この血糖が、
血液1dl(100ml)中にどのくらい
含まれているかを示した数値が、
「血糖値」なのです。
健康な人であれば、
血糖値は70~110mg/dl未満の範囲に
収まるように調整されていますが、
これよりも血糖値が高くなり、
下がりにくくなるのが「糖尿病」です。