2025/6/13

細胞も若返る? 脳の海馬、 加齢で機能低下の仕組み解明  先端大など

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

細胞も若返る? 脳の海馬、

加齢で機能低下の仕組み解明 

先端大など

 
 
 

奈良先端科学技術大学院大(奈良県生駒市)と

九州大の研究グループは、

 

記憶などをつかさどる脳の部位の機能が

加齢によって低下するメカニズムを突き止めたと発表した。

 

この部位にある酵素の減少が機能低下を引き起こしていた。

この機能低下は一過性で、

酵素の量を元に戻すと機能も回復した。

 

この酵素を利用すれば、

老いた細胞を若返らせることができるかもしれないという。

 

アルツハイマーなどの加齢性の

神経疾患の治療への応用にも期待がかかる。

 

研究は、

先端大の松田泰斗准教授(バイオサイエンス領域)と

九州大の研究者らが取り組んだ。

 

成果は国際学術誌

「欧州分子生物学機構ジャーナル」で

オンライン公開された。


 
 
㊤正常なマウスの海馬。
 
緑色に光って見えるのが神経幹細胞=奈良先端大提供
 
 
 

記憶や学習などをつかさどる脳の海馬には、

神経細胞を生み出す神経幹細胞がある。

 

加齢とともに神経幹細胞の数が減り、

機能も衰えることが知られていたが、

そのメカニズムは分かっていなかった。

 
 
 
㊦今回特定した酵素を人為的に減らすと
 
神経幹細胞の多くが消失した=奈良先端大提供
 
 
 

研究では、

1個の細胞の内部を解析できる最新技術を用いて

細胞内の変化を時系列的に捕捉。

 

加齢に伴って神経幹細胞が減少する

主因となる酵素を特定した。

 

この酵素を人為的に減らすと

神経幹細胞の機能が著しく低下し、

酵素を元のレベルに戻すと

神経幹細胞も機能が回復した。

老化した細胞内でこの酵素を

増やす効果がある薬剤を

突き止めることが次の研究課題となる。

 

松田准教授は「老化した細胞を若返らせる

リプログラミングは可能と考えて研究を始めた。

 

次のステップにつながる薬剤は、

いくつか候補が挙がっている。

研究を加速させたい」と話した。

 

 

 

<参考:大川泰弘>