「80歳を超えても仕事を続け、
毎日を楽しく過ごせるのは散歩のおかげ」と話すのは、
]保健学博士の石田良恵先生です。
長年、運動生理学を専門に研究されてきた石田先生は、
(アスコム)の著者でもあります。
実は「歩くこと」の健康効果は、
さまざまなデータでも実証されています。
例えば、
「1日1500歩で年間約3万5000円の
医療費を節約できる」という
国土交通省の試算があるのをご存じでしょうか。
さらに、
歩くことが認知症予防に役立つという研究結果も、
世界各国から報告されているのです。
とはいえ、
健康のためだからと無理をするのは禁物。
大切なのは、
今の自分の体力に合わせて、
楽に、安全に続けることです。
そこで今回は石田先生の著書より、
散歩を無理なく楽しむための
「体づくりのヒント」をご紹介します。
ボケない散歩で
コツコツと「貯筋」を
全身には多くの筋肉がありますが、
体の土台となるのは、どの筋肉でしょうか?
それは足裏の筋肉「足底筋群」。
まさに、
体を足元から支える"縁の下の力持ち"
といえる存在です。
この筋肉が弱ると、
足裏で体をしっかり支えられません。
すると、体重のかかり方が左右に偏ったり、
全身がグラついたりして、
ひざや腰に余計な負担がかかってしまいます。
さらに、「浮き指」のリスクもあります。
浮き指とは、
立っているときや歩いているときに
足の指が地面につかず、
浮いてしまっている状態のこと。
足指で踏ん張れないので、
安定して立ったり歩いたりするのが難しくなります。
そうすると、
背中が丸まって「猫背」になったり、
腰が反って上体がふんぞり返ったような
「反り腰」になったり。
こうした悪い姿勢は、
ひざ痛や腰痛、股関節痛などの下半身の
不調を招くだけでなく、
肩こりなど上半身の不調さえ引き起こします。
爪が内側に強く巻き込む「巻き爪」や、
爪の端が皮膚に刺さって炎症や痛みを引き起こす
「陥入爪」など、
爪のトラブルも浮き指が原因になることがあります。
歩くためだけでなく、
体のあらゆる不調を避けるためにも、
足底筋群をしっかりと鍛えておきたいところですね。
私の筋トレ教室でも、
足底筋群を鍛えるトレーニングは欠かせません。
参加者のみなさんからも、
「足底筋群のトレーニングを定期的に
行うようになってから、楽に歩けるようになった」
「足の疲れやだるさが減って、
長く歩いても痛みが出にくくなった」
といった声をいただいています。
足底筋群は小さな筋肉です。
太ももやお腹のような大きな筋肉と比べると、
鍛えても「筋肉がついた!」という実感は
得にくいかもしれません。
しかし、
続ければ確実に「貯筋」できる筋肉なのです。
もちろん、
何歳からでも鍛えることができます。
「貯筋」というのは、
運動によって筋肉を貯金のように
蓄えていこうという考え方。
私の師匠である、
鹿屋体育大学の元学長、
福永哲夫名誉教授が提唱しました。
おもしろいのは、
お金は使えば減りますが、
筋肉は使えば使うほど貯まっていくところ。
年齢を重ねると、
体を動かす機会がだんだんと減っていきます。
それに比例するように筋肉は衰え、
筋肉の量も減ってきます。
何もしなければ、歩く力が失われるどころか、
介助なしでは日常生活を送ることすら難しくなり、
最悪の場合は寝たきりの状態に。
言うなれば、「筋肉は生きる力」です。
健康寿命を延ばすためには、
「貯筋」が必須。
しかし、
慣れていない方にとっては筋トレはきつく、
なかなか続けにくいものです。
ご紹介する足底筋群のトレーニングは、
高齢の方、
ひざや腰が痛い方でも問題なく行えるようにしました。
楽にできるので、毎日、実践しやすいと思います。


