2025/10/10

太陽で嵐が起きると、 地球で 「女性の心筋梗塞」が増える? 宇宙と健康に 「意外な関連」がある可能性

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

太陽で嵐が起きると、

地球で

「女性の心筋梗塞」が増える?

宇宙と健康に

「意外な関連」がある可能性

 
 
 
 
 
 
 
 
太陽嵐のイメージ

 

 

 

<ブラジル国立宇宙研究所の研究チームは、

太陽嵐によって乱された

「地球の磁場」が健康に与える影響を調べている

 
 
 

太陽から放出される巨大なエネルギー

「太陽嵐(Solar storm)」が地球の磁場を乱し、

 

特に女性の心筋梗塞を引き起こす

一因となっている可能性があることが、

新たな研究で示された。

 

 

この研究を主導したのは、

ブラジル国立宇宙研究所

(National Institute for Space Research、INPE)

の研究チーム。

 

対象となったのは、

太陽活動が活発だった

1998年から2005年までの間に、

ブラジルのサン・ジョゼ・ドス・カンポス市の

病院で記録された症例だ。

 
 
 
 
 
 

研究チームは、男性871人と女性469人、

計1340件の心筋梗塞の症例を、

地球の磁場変動の強度

(プラネタリー・インデックス[Kp指数])と

照らし合わせて分析した。

 

 

チームは、

分析対象日の地磁気変動を

「穏やか・中程度・乱れた状態」の

3つに分類。健康データは、

性別と年齢層

(30歳以下、31〜60歳、60歳以上)に

分けて検討した。

 

 

論文著者でINPEの研究者

ルイス・フェリペ・カンポス・デ・ヘゼンデ

(Luiz Felipe Campos de Rezende)氏の声明によると、

 

地磁気の状態にかかわらず、

男性の心筋梗塞の件数は女性の約2倍にのぼるが、

「発症の相対頻度に着目すると、

女性の場合、地磁気が乱れた日のほうが、

穏やかな日よりも有意に高いことがわかった」という。

 

「特に31〜60歳の層では、

その差が最大で3倍に達していた。

 

この結果は、

女性のほうが地磁気の影響を受けやすい

可能性を示唆している」と、

ヘゼンデ氏は付け加えた。

 

 

大気で何が起きているのか?

 
 

地磁気の乱れは、

太陽から常に放出されている荷電粒子の流れ

「太陽風(solar wind)」が、

地球の磁場と衝突することで発生する。

 

これによって、

衛星や無線通信、

GPSに障害が生じることがある。

 

1970年代後半以降、

北半球では、

こうした太陽粒子が人間の健康、

特に心臓に影響を及ぼす可能性が

あるといくつかの研究で示されてきた。

 

 
 

考えられるメカニズムとしては、

血圧や心拍数の変動、

さらには体内時計(概日リズム)への影響などが

挙げられている。

 

ただし、研究者たちは、

こうした関連性がまだ科学的に

確立されたわけではないことを強調している。

 

 

「このテーマについて、

この緯度で行われた研究は今回が初めてだ。

 

ただし、結論を出すには至っておらず、

特に女性の間で過度な

不安を引き起こす意図はない」と、

ヘゼンデ氏は述べている。

 

 

なお、この研究にはいくつかの制約もある。

 

対象地域は1都市のみで、

医療研究として理想的とはいえない

サンプルサイズにとどまっている点だ。

 

 

「とはいえ、今回の結果は、

仮説的ながら科学的意義と

関連性を持つ実証的な所見であり、

科学的な文脈において無視すべきではない」と

ヘゼンデ氏は述べている。