
マダコ
イカ・タコなどの頭足類は、
人類とはまったく異なる身体・脳の構造を持っています。
一方で、
他個体とのコミュニケーションや鏡像認知など、
ヒトにも通じる高度な知性の
持ち主であることがわかってきました。
タコの脳はどこにあるのか?
タコの仲間が「知能が高い」と
いわれるのには大きく2つの根拠がある。
1つは彼らの見せる行動の複雑さである。
水槽の外で人がねじ蓋の瓶を開ける
様子を見たマダコは、
それを真似て蓋を開けられる。
このような観察学習による瓶開け行動は
高い知能と認知を感じさせる。
もう1つは、
神経系に含まれる神経細胞の数が
ものすごく多いという脳の物理的な複雑さである。
脳神経はネットワークとして働く電気回路なので、
神経細胞の数が多いとそれだけ
複雑な情報処理が可能になる。
頭足類の脳は9個あるといわれると、
読者の方はギョッと驚かれるかもしれない。
9つのうちの8つは、
腕神経節と呼ばれる、
腕を制御する神経の塊である。
タコの場合は腕1本ごとに対応する神経節があり、
合計で8つである。

腕神経節は腕から入ってくる
情報処理を担っている部分で、
反射的な行動や自立運動なども制御している。
ヒトの脊髄を想像するとよい。

神経細胞はなんと5億個以上
他の動物でも体のパーツごとに
情報処理を行っている神経節があるが、
タコの場合はその細胞数が圧倒的に多い。
9つの脳全体を合計すると、
神経細胞は5億個以上ある。
その数には先に挙げた腕の神経節を
含んでいるので少々過剰評価かもしれないが、
脳の細胞数だけでも1億個以上あるので、
動物の中でも特に大きく、
複雑な脳を持っているのは間違いない。
頭部の脳にはコブ状の葉(よう)と呼ばれる膨らみが見られ、
それぞれの葉が大まかな機能を分担していると考えられる。
特に垂直葉と呼ばれる部分は、
知能の高さと関連している。
垂直葉は破壊すると記憶ができなくなるなど、
ヒトの脳との繋がりを想像させる部位である。
<参考: >