2025/4/13

「30億年」前の古代地球で誕生し、 「4億年もの時間をかけて 海と大気」をつくった」生物…

 
 
 
 
 
 
 
 
 

「30億年」前の古代地球で誕生し、

「4億年もの時間をかけて

海と大気」をつくった」生物…

なんと、

今も「南半球」に生息する、

その意外な正体

 
 

桜井 弘

 

金属なくして、

生命の誕生も進化もありえなかった!

 

 

鉄やカルシウムが重要なのは常識ですが、

 

私たちの体内には、

他にもマグネシウムや亜鉛、銅やマンガン、

モリブデンなどの金属元素が含まれています。

 

 

これらの金属は、

体内にわずか1%以下しか存在しない

微量元素ですが、

 

「微量」の名前とは裏腹に、

多種多様で、きわめて重要な役割を果たしています。

 

いったいどんな役割なのでしょうか?

 

そして、「多すぎ」ても「少なすぎ」ても、

体調に異変をきたす理由とは?

 

 

生命と金属の奥深い関係を解き明かす

話題の本『生命にとって金属とはなにか』から、

読みどころを厳選してお送りします!

 

 

 

 

 

地球環境を一変させた

「新しい生物」

 
 

海の中で誕生した生命は、

悠久の長い年月をかけてゆっくりと進化していったが、

 

およそ30億年前に、

地球の環境を一変させる新しい微生物が姿を現した。

 

 

その微生物は、

強い太陽の光を使って大気中の

二酸化炭素と海水中の水から

有機物をつくり出す生物であり、

 

最初の光合成生物であった。

 

有機物をつくる過程で、

酸素分子をも生み出し、

海洋中へと放出した。

 

 

「シアノバクテリア」と名づけられたこの微生物は、

現在もオーストラリア西部のハメリンプールに生息し、

その化石はストロマトライト化石として残っている。

 

 

25億年前の海底鉱床

 
 

シアノバクテリアはその後、

大繁殖し、酸素を溶かした海洋が誕生することとなった。

 

シアノバクテリアはおよそ4億年をかけて

酸素を放出し続けると同時に、

光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込むために、

地球の大気組成をも変化させる役目を果たした。

 

 

 

当時の海には、

カルシウムやナトリウムイオンの他に、

海底の熱水噴出孔から放出される

大量の鉄イオンが溶け込んでいた。

 

シアノバクテリアから海洋中に放出された

酸素分子は鉄イオンと結合し、

 

水に溶けない酸化鉄へと変化して、

およそ5億年をかけて海底に沈んでいった。

 

 

酸化鉄が沈降したおよそ25億〜18億年前の海底には、

「縞状鉄鉱床」とよばれる、

酸化鉄とケイ酸塩鉱物が縞状に堆積した層がつくられた。

 

その後の地殻変動によって

大陸の一部が隆起した結果、

 

現在、広大な縞状鉄鉱床が

オーストラリアやカナダで発見され、

鉄鉱石源として鉄の製造に利用されている。

 

 

こうして大量の鉄イオンが海水中から取り除かれ、

海洋には鉄とともにモリブデン、

亜鉛、銅、マンガン、コバルトなどの

金属イオンが残ることとなった。

 

 

シアノバクテリアによって放出されつづける

酸素分子は、

 

やがて海水を飽和し、

ついには大気中に放出されていくことになった。

 

このようなプロセスを経て、

24億5000万年前に、

大気中に酸素分子が出現しはじめたのである。

分子中に1個以上の不対電子をもつ物質を、

一般に「フリーラジカル」とよぶが、

 

フリーラジカルは他の物質と反応して、

その物質から電子を奪い取って電子対をつくり、

安定になろうとする性質がある。

 

 

したがって、

フリーラジカルが2個存在する酸素分子が

生物の体内に入ると、

つねに他の生体分子から電子を奪おうとする。

これを生物の側から見ると、

きわめて危険な状態が生じることを意味している。

 

 

なぜなら、電子が奪い取られると

生体側は酸化されることになるからだ。

 

生体が酸化されるとさまざまな反応を引き起こすが、

それらの反応が連続して進行していくと、

 

生体分子はついには化学的傷害を

受けることになってしまう。

 

 

そのような傷害が発生すると、

生体は傷つき、

さまざまな機能に支障をきたす。

 

最悪の場合には、

個体に死をもたらす可能性もあるのである。

 

 

 

続いては、

生物が酸素呼吸をはじめた経緯についての

解説をお届けします。

 

なんと、初期生命にとって、

酸素は猛毒だったとか。

 

「死のリスク」をものともしない、

酸素の「誘惑」を考察します。

 

 

<参考:>