人生100年時代、
自立した生活を長く送るためには、
要介護状態になるのを避ける、
できるだけ遅らせることが重要です。
そのカギのひとつは、
立ち上がるときや転倒の防止に必要な
「筋力」にあります。
「最近、食が細くなった」と感じている人も
いるかもしれません。
年齢を重ねると食欲が低下しがちになり、
食事の摂取量が少なくなる傾向がみられます。
また、食べ物を消化・吸収する力や、
体に必要な筋肉や骨を作る力も低下してくるため、
しっかり食べているつもりでも、
実際は栄養不足であるケースも見られ、
高齢者の新たな栄養失調が問題になっています。
低栄養状態が続くと徐々に筋肉が失われ、
筋力が低下する「サルコペニア」になり、
身体機能の低下、さらには活動量も低下していく
といった悪循環を生じます。
この「負のスパイラル」が、
要介護状態の前段階である「フレイル」の
進行を加速させてしまうのです。
シニアに必要なたんぱく質の量とは
筋肉を鍛える運動をおこなうときは、
しっかりとたんぱく質をとることが必要です。
では実際に、
たんぱく質の必要量はどのくらいなのでしょうか。
フレイル研究の第一人者、
東京大学高齢社会総合研究機構・
機構長および同大未来ビジョン研究センター
教授の飯島勝矢先生は、次のように話します。
「たんぱく質は私たちの体をつくる材料となる
重要な栄養素です。
たんぱく質は脂肪とは違い、
体内にためておくことはできません。
食べためができないので、
毎日朝昼晩3回の食事のうち2回以上は
肉や魚を取り入れ、
合計して1日の必要量以上を
食べるよう心がけましょう。
具体的には一般的な活動量の人なら、
最低でも体重1キロあたり1キロの
たんぱく質をとることが、
筋肉の「維持」に必要だといわれています。
サルコペニアの傾向にある人、
筋肉を増やしたい人、
トレーニングをしている人なら、
さらに多い1.2~1.5グラム/キロが必要です」
肉や魚はたんぱく質が豊富な食材の
代表例ですが、
実はそのなかに含まれるたんぱく質の量は
意外と多くはないそうです。
「例えば、赤身の牛ステーキを200グラム食べても、
その中に含まれるたんぱく質の量は35~39グラムであり、
食材の重さの約2割。
豚肉・鶏肉や魚も同様で、多く見積もって約2割です。
十分食べているつもりでも、
実際の必要量には足りていないことが多いという
ギャップに気づくことが、まずは大切です」
シニアが取り入れやすい
たんぱく質の食べ方
大手スポーツクラブのライザップでは、
高齢者の筋トレをサポートしていますが、
食事指導にも力を入れています。
そこで、
具体的にどのようなアドバイスをしているのか、
シニアプログラムの開発に携わった
同社の川本裕和さんに聞いてみました。
「シニア会員には、卵、肉、魚、乳製品、
豆腐などのなかから、
ご自身が好んで食べられる食材を選んで、
さらに動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の
どちらかだけに偏らないよう、
バランスよくとることを勧めています。
胃もたれなどを感じている場合は、
消化がよく軟らかい食材や動物性脂質の少ない
食材を選びます。
軟らかい半熟卵や豆腐が比較的にとりやすい食材です。
1食のボリュームが少ない場合には、
食事の回数を増やして、
1日トータルで必要摂取量を目指すようアドバイスします」
肉が硬くて食べづらい場合には、
肉と一緒にキウイやパイナップルを食べたり、
炭酸水や酢などに漬け込んだり煮込んだりすることで、
肉の繊維が壊れて軟らかく、
食べやすくなるそうです。
また、酸味のあるレモンや酢などの
調味料をかけて食べると、
唾液の分泌量がアップして
消化もよくなるので、
試してみてはいかがでしょう。
ちなみに「硬い肉がかめない」というのも
筋肉の老化現象の一つ。
歯や口回りの筋肉の力が弱くなると
かむ力や舌の動きが悪化するので、
「むせやすくなる」「滑舌が悪くなる」
「食べこぼしが多くなる」などの症状も、
口腔(こうくう)機能の低下の兆候です。
飯島先生はそれらを
「オーラルフレイル」と指摘して、
早期から口腔ケアおよび口腔機能維持を
おこなうよう呼び掛けています。
日本歯科医師会では、
オーラルフレイルを予防する「口腔体操」を
ホームページで、紹介しています。
この体操は、
①口、舌の動き、
②のみ込む力、
③かむ力、
④滑舌、
⑤舌の力を強化する、
五つの効果を目的とした体操です。
口回りの筋力低下が気になる人は、
全身の筋トレとあわせて
こちらもぜひ参考にしてみてください。
<参考:坂井由美>
1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、
あなたなら出来ます応援しています
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