2023/12/14

【心臓に新しい血管が】 【目が見えるように…】「本当にためになる再生医療」

 
 
 
 
 
 

【心臓に新しい血管が】

【目が見えるように…】

実用化進む

「本当にためになる再生医療」の新常識

 

 

心臓に新しい血管が

 
 

江戸川病院グループではSGFを内製することで

安全性を確保し、

費用を抑えている。1回の投与で約1万円で、

症状に応じて回数は変わるが、

関節痛の場合は月2回の投与が標準的だから、

十分手が届く額だろう。

 

ですが、

身体の組織はすぐには回復しません。

 

繰り返し治療を受けることが重要ですから、

比較的安価なSGFは使いやすく、

効果も期待しやすいと思います」(加藤氏)

 

 

 

 
 
 

こうした関節痛の治療では、

再生医療といっても「軟骨や関節を直接再生する」

わけではないことに注意が必要だ。

 

そのいっぽうで、

ほかの分野ではまさに身体を「再生させる」

治療法も近年、急速に進化を遂げている。

 

 

筆頭が、心臓の再生医療だ。

 

大阪大学医学部では、

世界初の「筋芽細胞シート」を開発・実用化し、

'16年に保険適用となった。

 

同大心臓血管外科教授の宮川繁氏が言う。

 

患者さん本人の太ももの筋肉を5~10g採取し、
 
テルモ社の施設で『筋芽細胞』という
 
特殊な細胞を取り出して培養したものです。
 
この細胞から作った直径5cmほどのシートを5枚、
 
心臓の表面に移植します。
 
すると、
 
 
シートから心臓にさまざまなタンパク質が
 
浸透して一体化し、
 
新しい血管を造っていくのです」

急性心筋梗塞の発作に襲われた人の約6割は、

ひとまず生還する。しかしその後、

心臓そのものの血流が悪くなる

「心筋症」を患って、

心臓の機能が衰えることも多い。

 

 

 

心不全や歯髄再生にも効果的

 
 

「そうした心筋症の人の心臓も、

新しく血管を造り血流を増やせれば、

心筋に酸素や栄養が行き届いて元気になるのです。

 

 

通常、重い心不全になると、

選択肢は心臓移植か人工心臓のどちらかになり、

手術の負担が非常に大きいので、

年齢や病状によっては治療を

受けられないケースも少なくありません。

 

いっぽう筋芽細胞シートは

75歳前後まで治療できます。

 

大手術が必要になる手前の段階で、

心臓の機能をグッと押し上げて、

移植や人工心臓なしで長生きしていただける

治療だと位置づけています」(宮川氏)

 

 

 

 

 

筋芽細胞シートを使った治療は

阪大医学部附属病院のほか、

各地の国立大学附属病院など

11施設で受けられる。

 

費用は総額2000万円ほどだが、

保険適用かつ高額療養費制度の対象なので、

自己負担額は数十万円に抑えられる。

 

人生の幸福度を大きく左右する「歯」についても、

その寿命を大きく延ばす再生医療が

実用化されたばかりだ。

 

神戸市のRD歯科クリニックの

長谷川雅之事務局長が言う。

 

「当院では'20年から『自己歯髄幹細胞』

を使った歯髄組織、

つまり歯の内部の神経や血管を

再生する治療を実施しています。

 

 
ことがありますが、
 
そうすると歯は死んでしまい、
 
自己再生する力を失って、
 
やがて炎症を起こしたりして
 
場合によっては抜かなければならなくなります。
 
 

歯髄再生治療では、

親知らずなど嚙み合わせに影響しない

患者さん自身の歯を抜き、

その中から歯髄幹細胞を取り出します。

 

それを培養して、

神経を抜いた歯に移植することで、

再び『生きた歯』に戻すわけです」

 

 

死んだ歯がよみがえった

 

抜歯から移植までは2~3ヵ月かかるが、

治療そのものは計数日の通院で完了する。

 

そこからおよそ3~6ヵ月で歯髄が再生するという。

 

「歯全体が再生するわけではないので、

歯髄の上から被せ物をする必要がありますが、

インプラントと違い『生きた歯』を取り戻せるので、

歯の寿命が長くなるのがメリットです」(長谷川氏)

 

費用はRD歯科クリニックでは1本70万~90万円で、

奥歯ほど高くなる。

 

ほかの医療機関だと150万円ほどに

なることもあるので、注意したい。

 

歯と同じくらい、

最後まで失わずに生きたいのが視力だろう。

 

目の再生医療は総じてまだ研究段階だが、

先行して実用化されているのが瞳の表面、

つまり角膜と、

いわゆる白目の結膜の再生だ。

 

 

 

 

 

京都府立医科大学附属病院では、

40年以上にわたり角膜・結膜の

移植に取り組んできた。

 

その成果として、

'22年に承認されたばかりなのが

「サクラシー」と名付けられた細胞シートだ。

 

同大教授の外園千恵氏が語る。

 

「サクラシーは、口の粘膜細胞と、

赤ちゃんが生まれる際に包まれている

『羊膜』を合わせたものです。

 

羊膜は拒絶反応を起こしにくく

いろいろなところに移植できるのが特徴で、

'90年代から目の治療に使われていました。

 

そこに自分の細胞をくっつけることで、

治療効果を高められるのです。

 

費用は1枚1000万円を超えますが、

保険適用なので自己負担額は

それほど高くなりません。

 

ほとんど視力のない人でも、

自力で歩けるほど見えるようになることが

確認されています」

サクラシーは生産が非常に難しいため、

いまのところ難病患者を優先して治療しているが、

今後はiPS細胞を使った加齢黄斑変性の

治療も数年以内に実用化される見通しだという。

 

 

再生医療はまだ、

緒についたばかりだ。それだけに、

どこでどんな治療を受けられるのかを

知ることさえ難しい。

 

第一線の医師たちの声を聞いて、

本当に「ためになる」治療を見極めたい。

 

 

 

<参考:週刊現代

 

 

1喧嘩はするな、
2意地悪はするな、
3過去をくよくよするな、
4先を見通して暮らせよ、
5困っている人を助けよ、

 

 

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