2023/11/5
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正しい「糖質制限」10か条 間違ったやり方は体調不良の原因に |
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江部康二先生は、 1974年に京都大学医学部を卒業後、 1978年から医局長として高雄病院で勤務、 2000年に理事長に就任。 2001年から糖尿病治療の研究に本格的に取り組み、 肥満・メタボリック症候群・糖尿病克服などに 画期的な効果がある「糖質制限食」の体系を確立した。
「血糖値」を直接上げるのは糖質だけ江部:まず、 「糖質制限」と「カロリー制限」はまったく違います。 三大栄養素のタンパク質、脂質、糖質のうち、 「血糖値を直接上げるのは糖質だけ」です。
「タンパク質」や「脂質」をいくら食べても、 血糖は上がりません。
この生理学的な事実に着目したのが、 糖質制限食です。
糖質制限は、血糖をコントロールし、 糖尿病をコントロールできる食事療法です。 上柳:糖質制限では、 具体的に何を制限するのですか?
江部:「主食」です。 穀物や芋など、いわゆる「でんぷん」です。 でんぷんさえ制限すれば、 血糖値が上がることはかなり少ないです。
上柳:つまり、 でんぷんを食べると体の中で糖分になる、 ということですね。
江部:そうです。 人類には700万年の歴史がありますが、 穀物を食べるようになったのが1万年前で、 現在のシリアの辺りで、 麦の栽培が始まったといわれています。
日本ではさらに最近の話で、 2500年前の弥生時代以降に米を食べています。
700万年という長い人類の歴史の中で、 穀物を食べていた期間は本当に短いんです。
上柳:人は狩猟で生きてきた 時間の方が圧倒的に長かったから、 私たちの体は本質的には、 穀物をそこまで必要としていないのですね。
江部:おっしゃる通りで、 糖質はゼロでも人は生きていくことができます。
上柳:もともと、 穀物を食べなくても生きていける体なんですね。
糖質制限の10か条(1)糖質の摂取を減らす。 可能なら“1回の食事”の糖質量は 20グラム以下とする。
江部:茶碗軽く1杯のお米で、 約55グラムの糖質があります。 ということは、 お茶碗半分も食べられないこととなりますが、 先ほども説明したように “必須糖質”というものはありません。
糖質はいらないよね、ということです。 その代わり、魚や肉は食べ放題です。
(2)糖質制限した分、 タンパク質や脂質が主成分の食品は 充分量食べる。
江部:これを10箇条に書いたのは、 皆さん、 「カロリー制限が染み付いているから」です。
「糖質制限したついでに、 油っこいものを食べるのも控えよう!」 ということをされてしまうと、 血糖は下がっても摂取エネルギー不足で、 ヘロヘロになって階段を上るのも大変、 ということになります。そういう方は皆さん、 摂取エネルギー不足です。
こうした勘違いをされる人が多いことから、 糖質制限食のことを、 「脂肪・たんぱく無制限食ですよ」 と私は言っています。
上柳:お肉はしっかり食べてくださいね、 ということですね。
江部:そうです。
(3)やむを得ず主食(ご飯、パン、麺類など) をとるときは少量とする。
(4)水、番茶、麦茶、 ほうじ茶などゼロカロリー飲料はOK。
江部:水、番茶、麦茶、ほうじ茶などは ゼロカロリーで、糖質もゼロです。
(5)糖質含有量の少ない 野菜・海草・きのこ類はOK。くだものは控える。 江部:人間には、 食物繊維と腸内細菌が必要です。
例えば、ブロッコリー、ピーマン、ゴーヤ、 海藻は糖質含有量も少ないのでお勧めです。
上柳:食物繊維は 善玉菌のエサになると言いますよね。
江部:そうです。
上柳:くだものは控えた方がいいそうですね?
江部:くだものはこの20年~30年で巨大化して、 糖度も甘くなりました。
くだものは何となく体にいいような気がしますが、 現在のくだものは、 もはや似ても似つかぬものになっています。
上柳:なるほど。
食べる時はちょっと気をつけた方がいいですね。
(6)オリーブ油や魚油(EPA、DHA)は積極的にとり、 サラダ油などに多く含まれるリノール酸を減らす。
江部:サラダ油の主成分はリノール酸で、 必須脂肪酸だから絶対にいるものではありますが、 今の日本人は、必要量の20倍もとっています。
ですから、 必須だけどあえて意識して減らしましょう。
(7)マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
江部:マヨネーズの成分表示を見ると分かりますが、 糖質の量がかなり少ないんですよ。
上柳:これは意外ですね。
(8)お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)、 糖質ゼロビールはOK。
辛口ワインも適量ならOK。 醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
(9)間食やおつまみは、 チーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。
江部:いろんなチーズがありますが、 どれも優秀でほとんど糖質がありません。
ナッツはクルミ、松の実、アーモンドなど 糖質含有量が少ないものがあるので、 それらを選ぶと糖質制限食としてより良いです。
(10)可能なら、 化学合成添加物の入っていない 安全な食品を選ぶ。
糖質制限はどんな人がするべきか江部:「糖質制限をしなければいけない人」は 糖尿病をすでに患っている人です。
「糖質制限を限りなくしなければいけない人」は メタボや肥満の人。
健康な人は、糖質制限をしなくてもいい 要素はありますが、 普通に糖質を食べていると血糖値はかなり上がり、 その時に「活性酸素」が出ます。
血糖値が上がって、 それを下げるためにインスリンがドンと出ると、 ここでも「活性酸素」が出ます。
酸化ストレスは、ガンやアルツハイマーなど 「万病の元」と言われています。
糖質を摂取すると酸化ストレスが増してしまうのは、 糖尿病の人に限らず、健康な人でも同じです。
江部先生も糖尿病を経験した上柳:高雄病院には江部先生のお兄様もいて、 二人三脚で糖質制限というものを 提唱されているそうですね。
江部:最初に始めたのは兄でして。 1999年に始めたんですが、 私は『兄がまた変なことをやっているな』 と思って無視していたんです(笑)
上柳:無視(笑)
江部:ところが2年間の結果を見ると、 「糖質制限食は糖尿病に劇的に有効ではないか」、 ということが分かったんです。
そして私も2001年から、 糖質制限食を糖尿病患者さんに 適用し始めたわけです。
上柳:実は江部先生ご自身も、 糖尿病になっていたそうですね?
江部:そうなんです。 いわゆる健康食と言われる 玄米、魚、菜食を食べていたのですが、 ある日、糖尿病になってしまいました。
34歳の時から玄米、魚、菜食という食事でしたが、 52歳で糖尿病を発症したのです。
しかも、周囲の同年代の方に比べたら、 私は週1回テニス、週1回ジムに行って 健康的だったはずなんですよ。
日本の糖尿病患者数は、 生活習慣と社会環境の変化に伴って 急速に増加している。
江部先生も、健康的な食事や運動を心がけ、 糖尿病治療の研究に取り組んでいたが、 自身も糖尿病を発症。しかし、 「糖質制限食」を実践して糖尿病を克服したという。
糖尿病は放置すると 網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、 末期には失明したり 透析治療が必要となることがある。
「自分は健康食をとっているから大丈夫」 という人も、 基本の「糖質制限の10か条」を確認し、 いま一度、毎日の食事を見直してみては。
<参考:江部康二先生>
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