2023/4/17

脳が左右非対称になる仕組みを解明!

 
 
 
 
 

「なぜ右脳と左脳ができるのか?」

脳が左右非対称になる仕組みを解明!

 
 

「脳は右と左に別れて別々の機能を持っている」

そんな右脳と左脳にかんする話題について、

1度は耳にしたことがあると思います。

 

しかし実は、

左右に別れた脳を持つのは人間だけではありません。

 

サルやマウスといった人間に近い哺乳類は言うまでもなく、

ニワトリやゼブラフィッシュなど幅広い脊椎動物たちもまた、

右と左に別れた脳を持っています。

 

さらにショウジョウバエのような昆虫の脳も、

右脳と左脳では異なる機能を担当していることが

知られています。

 

地球上に生息するそこそこ高度な動物たちにとって、

脳の非対称性はデフォルトと言ってもいい状態にあるのです。

 

しかし左右のどちらにどんな機能が存在するかは

解明が進んでも、

どんな仕組みで脳の左と右が決定されているかは

謎に包まれていました。

 

脳は極めて複雑な器官であり、

心臓のようにメカニカルな理解を行うのは

困難だったからです。

 

そこで大阪大学の研究者たちはシンプルでありながら

左右非対称性を備えたショウジョウバエの脳に着目し、

脳の左右差がうまれる仕組みを調査することにしました。

 

 

結果、

ショウジョウバエの左脳だけで起きている神経突起の

「刈り込み」が脳の左右非対称性の起点になっている

可能性が示しました。

 

 

多くの人々にとって昆虫にも右脳と左脳の違いが

存在することは驚きでしょう。

 

しかし研究ではさらに一歩踏み込んで、

同じ左右非対称性形成の仕組みが昆虫から

人間に至る幅広い種で共通(進化的に保存)である

可能性も指摘されています。

 

しかしなぜ虫から人間に至るまで地球上の動物たちは、

脳を右と左に別けているのでしょうか?

 

研究内容の詳細は2023年4月11日に

Cell Reports』にて公開されています。

 

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脳が左右非対称になる仕組みを

大阪大学の研究が解明!

 
 
脳が左右非対称になる仕組みが大阪大学の研究によって解明!
 
脳が左右非対称になる仕組みが大阪大学の研究によって解明!
/ Credit:Canva . ナゾロジー編集部
 
 

私たち人間をはじめとする多くの動物は、

外見は左右対称であっても内臓の配置は左右非対称です。

 

体の表面にある目も鼻も口も耳も手足の配置も

左右対称ですが、

心臓は左側、肝臓は右側に偏っており

腸の巻き方も種が同じならば同様のパターンを見せます。

 

 

頭蓋骨に格納されているの場合、

一見すると左右対称の形をしているようにみえますが、

右脳と左脳は異なる脳機能を

分担していることが知られており、

明確な左右非対称性を持っています。

 

 

またこれまでの研究により、

脳の左右非対称性は昆虫のような無脊椎動物から

人間をはじめとした脊椎動物に至るまで

幅広い種に存在することがわかっており、

記憶や判断など高次の脳機能において

重要な役割を果たしていると考えられています。

 

特定の脳機能を担当するニューロン

右脳または左脳に集中させることは

情報処理の効率化につながり、

分散配置するよりも高度で複雑なネットワークを

構築させることが可能になります。

 

しかし脳の左右がどのような仕組みで決まるかは、

脳の複雑さや見た目からの判断のしにくさのせいで、

多くが謎に包まれていました。

 

そこで今回、

大阪大学の研究者たちはシンプルながらも

左右非対称性を備えた「ショウジョウバエ」の

脳を調べることにしました。

 

脳の研究をするのにサルやマウスはともかく、

ハエは全く不適当だと思う人もいるでしょう。

確かにショウジョウバエは人間に比べて

遥かに単純な脳しか持ちませんが、

基本的な記憶や学習を行うことが可能です。

 

また1匹1匹のハエにも攻撃性の強さや

活発さなどに違いがあり、

小さな脳でも個性のような違いがうまれることが

わかっています。

 

 

ショウジョウバエも左右に別れた脳を持つ
 
ショウジョウバエも左右に別れた脳を持つ
/ Credit:Cincinnati Children’s Hospital Medical Center
 
 
 

さらに近年の研究により、

ハエの脳も失恋によるストレスを感じたり、

そのせいでアルコール依存症になりやすくなったり、

やる気が落ちると薬物に溺れやすくなったりと、

人間の脳と同じような特性を持っていることも判明しています。

 

(※人間の脳細胞とハエの脳細胞が酔っぱらう

アルコール濃度も同じです)

 

加えてショウジョウバエの脳には左右非対称性を

調べるにあたり非対称体(AB)と呼ばれる

便利な部分がありました。

 

非対称体(AB)はその名の通り左右非対称な構造であり、

左側よりも右側が大きくなっています。

 

 

観察が行われたのは蛹(さなぎ)の段階にある脳となっています
 
観察が行われたのは蛹(さなぎ)の段階にある脳となっています
/ Credit:So Sakamura et al . Ecdysone signaling determines lateral polarity and remodels neurites to form Drosophila’s left-right brain asymmetry . Crell Reports (2023)

 

また重要な点として、

非対称体(AB)の左右差が失われたショウジョウバエは

短期記憶は問題なくできるものの、

長期記憶ができなくなってしまうことが知られていました。

 

もしショウジョウバエ脳にある非対称体(AB)が

どのように作られるかを詳しく知ることができれば、

脳の左右非対称性が発生する仕組みを突き止められかもしれません。

 

そのため研究者たちは非対称体(AB)に

存在するさまざまなニューロンの可視化を行うことにしました。

 

すると、

ショウジョウバエの脳は最初は左右対称に

造られていましたが、

時間が経過するにつれて左脳の非対称体(AB)の

神経突起が刈り込みされたかのように縮小していき、

体積も明確な差が生じはじめたのです

 

 

左脳の特定の神経突起が切り取られることで左右非対称性が顕現します
 
 
 
左脳の特定の神経突起が切り取られることで
左右非対称性が顕現します
/ Credit:脳が左右非対称になる仕組みを解明―
脳の左半球の神経突起だけが刈り込まれることを発見― 大阪大学

 

 

また左脳で神経突起の刈り込みが行われている

仕組みを調べたところ、

ステロイドホルモンの一種で昆虫で

脱皮や変態を促進する作用がある

エクジソンが需要な役割をしていることが判明しました。

 

たとえばショウジョウバエのエクジソン

遺伝子を働かないようにした実験では、

非対称体(AB)の左右差が反転することが示されました。

 

この結果はショウジョウバエ脳の左右非対称性が

ホルモン調節によって起こることを示します。

興味深いことに、ホルモンと脳の左右非対称性の関連は

人間・ニワトリ・カレイなど複数の

脊椎動物においてみられています。

 

(※人間もニワトリもカレイも脳は右脳と左脳が存在します)

 

たとえば人間の場合、

側頭部の構造が男女によって微妙に

違うことが示されており、

その違いが性差に起因する脳内のステロイドホルモンの

働きに起因する可能性が示されています。

 

また体全体に左右非対称性を持つヒラメでは

頭部の非対称なネジレに甲状腺ホルモンが

重要な役割を果たしていることが示されています。

 

さらにニワトリにおいてもコルチコステロンや

エストラジオールなどのホルモンが、

視覚投影領域の非対称化に関連していることが示されました。

 

 

これらの結果は、

昆虫から人間に至る幅広い動物脳の

左右非対称性形成メカニズムが共通である

(進化的に保存されている)可能性を示します。

 

 

また研究者たちは、

脳の左右非対称性が記憶や認知など

脳の高次機能に必要であることから、

ヒトの精神疾患のいくつかも神経突起の

刈り込み異常がかかわっている

可能性があると述べています。

 

現在、

生物の脳の仕組みを模倣することで、

より高度なAIを開発する試みが行われています。

 

もしかしたら未来のロボットに搭載されるAIの

ニューラルネットも、

右脳と左脳のような大きな区分を持つものが

一般的になるかもしれません。

 

 

<参考:ナゾロジイ>





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