2025/5/11

イチロー氏のひと言で得た最短ルート。物事の「本質」を見抜く3つの実践例とは?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

イチロー氏のひと言で

得た最短ルート。

物事の「本質」を見抜く

3つの実践例とは?

 
 
 
 
 
 
 
 
「肩の力を抜きたいなら…」
 
イチロー氏のアドバイスに潜む“本質”とは?
 
 
 

「本質」をつかむために見るべき3点とは?

 
 
「本質読解」「表層読解」「深層読解」という
 
3つの読解の中でも、
 
とりわけ重要なのが「本質読解」です。
 


「本質」とは、「物事の『核』とも言える大事な部分で、
 
そのものがどういうものかを
 
根底から説明する要素のこと」です。
 
 


本質をつかめていなければ、
 
表層的な情報に惑わされてしまう恐れがあります。
 


同様に、本質をつかめていなければ、
 
せっかく深層を読み解いたとしても、
 
それが〈真に何を意味するのか〉は
 
結局わからずじまい、
 
ということもあります。
 


本質は、良くも悪くも、
 
その対象全体に影響を与えます。
 


人間のからだで言うなら、
 
全身を流れる血液のようなものなのです。
 
 


きれいな血液の人は健康ですが、
 
血液が汚れている人は心身に不調を来します。
 


つまり、からだ(対象)は、
 
血液(本質)に支配されているのです。
 


本質を読み解く力を身につけることで、
 
その対象に対する読解の解像度が高まるほか、
 
その情報を有効活用できるようになります。
 
 
 


 
本質を読み解ければ、解像度が高まり、
 
情報を有効活用できる
 

 
 
本質を分解したものが以下の3つの要素です。


  • 普遍的(時代や場所を超えて、
  • 変わらない特性や価値があるもの)
  • 汎用的(さまざまな用途に広く使えること)
  • シンプル(ムダなところがなく簡素なさま)
 

 一例として、「人間性」の
 
本質について考えてみましょう。
 


 人間性の定義にもよりますが、
 
「学習能力があること」は、
 
ひとつの本質と言えそうです。
 


 人間の学習能力は、時代や場所を超えて、
 
あらゆる状況において当てはまり、
 
そしてシンプルです。
 


 先ほどの1.~3.を満たしています。


 もっとも、
 
本質は「ひとつの対象に1個しかないもの」
 
というわけでもありません。
 


人間に備わっている「意識」や
 
「理性」「感情」「創造性」「想像力」「社会性」
 
「適応力」「自己防衛本能」──
 
 
なども人間性の本質と言えるものでしょう。
 


大事なのは、本質をつかむためには、
 
それが普遍的で汎用性があってシンプルか、
 
その3点を見ていくということです。

 

 

核心に迫ろうとする「問い」が、

成果を生み出す

 
 
 さて、ここからは、
 
いよいよ本質を見抜くための実践に入ります。
 


事例を通じて、
 
本質の押さえ方や見抜き方を学んでいきましょう。
 


とりわけ仕事の場面では、
 
本質を読み解く意識が欠かせません。
 


本質を理解していないと、
 
コミュニケーションに齟齬が生まれ、
 
ミスやトラブル、
 
機会損失を起こしてしまうことなどもあります。
 
 

「◯◯というメーカーの
 
ランニングシューズはありますか?」 
 
靴店の店員さんが、
 
お客さまからこのような質問を受けました。
 


 以下は店員さんの対応例です。

対応1:「当店では、そのシューズは置いていません」

対応2:「他店にあるかもしれません。在庫をお調べします」

対応3:「当店では、そのシューズは置いていません。
ちなみに、どういう目的でお使いですか?」
 1~3のうち、1と2は、
 
本質への意識が薄い(ない)対応です。
 
 
相手の言葉を額面通り受け取るだけで、
 
その核心(=本質)に迫ろうとしていません。
 


お客さまの(そもそもの)ニーズに
 
迫れていない、とも言えます。


 一方、3は、本質への意識が高めの対応です。
 


 もし3の質問を投げかけた際、
 
相手が「出張先でウォーキングをしようと
 
思っていまして」と答えた場合、
 
次のような情報を伝えることができるかもしれません。
 


「それでしたら、ランニングシューズではなく、
 
ウォーキング専用シューズの
 
ほうがいいかもしれません。
 
 
当店にご用意がございます。


もし出張先で観光もしたいということであれば、
 
足首に優しい旅用のスニーカーもあります。
 
こちらは観光とウォーキング、
 
どちらにもお使いいただけるタイプです」
 


3の対応が優れているのは、
 
そもそもの目的(=靴を買う目的)を
 
聞く質問を含んでいるからです。
 


お客さまのニーズに光を当てることによって
 
機会損失を防ぎ、
 
なおかつ、
 
お客さまにも喜ばれる提案をすることに成功しています。


 「なぜ、そのシューズを求めているのか?」
 
「そもそも、どんな目的で使うのか?」
 
という本質志向な問いが、
 
〈成果を生み出すお客様対応〉の土台になっているのです。 
 
 
                         
 
 
 

用意していたプランを潔く

破り捨てる勇気も必要

 
 
前項でお伝えしたエピソードとも重なりますが、
 
仕事における本質のひとつに「相手本位」があります。
 


 自分の利益や都合だけを考える
 
「自分本位」な姿勢は、
 
そもそも仕事の本質から外れているため、
 
誰かに喜ばれることが少なく、
 
仕事の成果も出にくいもの。
 
 
短期的には利益があったとしても、
 
長期的にはマイナスになることがほとんどです。
 
 


一方で、
 
相手やその場にいる人たち、
 
あるいはお客様や社会の利益や
 
都合を優先した場合、
 
 
 
仕事はうまくいき、
 
その仕事に関わるすべての人に
 
利益がもたらされやすくなります。
 


 なぜなら、
 
「相手本位」こそが、
 
仕事に通底する本質だからです。
 


 以前、筆者は、ある雑誌の
 
インタビュー記事を請け負っていました。
 


その記事では、
 
取材相手の「知られざる魅力」を
 
引き出すことがお約束となっていました。
 


ある回での取材相手は、
 
全国区の知名度を誇るアナウンサーでした。
 


筆者は、編集部から「話し方の奥義」を
 
聞き出すよう指示を受けました。


ところが、
 
いざ取材をしてみると、
 
話し方の話題がまったく盛り上がりません。
 
 


自身の話し方について言語化できないのか、
 
具体的な話が何ひとつ出てきません。
 


 一方で、
 
ふとした瞬間に相手が語った
 
「若かりしころのアメリカでの武者修行」の
 
エピソードが、
 
ものすごく魅力的でおもしろい内容でした。
 


 饒舌に語るその目もキラキラ輝いています。
 


 筆者は、この武者修行の間の精神の中に、
 
この方のアナウンサーとしての魅力が詰まっていると感じ、
 
それと同時に、
 
雑誌の読者にとっても
 
「ためになる内容」だと確信しました。
 


 私は、インタビューの舵を大きく切り、
 
アメリカでの武者修行の話を
 
根掘り葉掘り聞き出しました。
 


 結果、記事は大反響を呼び、
 
私自身も編集部から高い評価を受けました。
 


 もし、私が「編集部に言われたから……」
 
という理由だけで「話し方の奥義」
 
にこだわっていたなら、
 
おそらくつまらない記事になっていたことでしょう。
 


 筆者はもちろん、
 
取材相手、読者、編集部……
 
誰の利益にもならない(=誰も喜ばない)ものを、
 
世の中に送り出してしまっていたかもしれないのです。
 


 「話し方の奥義」を聞き出すという
 
編集部からの指示は、
 
 
「読者に喜ばれる記事を届ける」
 
という本質に優先されるものではありません。
 
 

 「読者に喜ばれない」と感じたのであれば、
 
用意していたプランを潔く破り捨てる
 
勇気も必要なのです。
 


 これこそが、
 
本質を捉えた仕事の仕方ではないでしょうか。
 


 翻って、
 
あなたの仕事における「相手本位」は、
 
どのようなものでしょうか?
 


「相手本位」の中身を一度言語化しておくと、
 
本質を外すことなく高い成果を
 
出せるようになるでしょう。

 

 

イチロー氏のひと言が

「本質理解」への最短ルートに

 
 
本質を読み解く上で注目したいものに
 
「コツ」があります。
 


 コツをつかむことで、
 
技術が一気に上達したり、
 
物事がうまく回りだしたり、
 
結果が出やすくなったり、
 
それまでできなかったことが嘘のようにできるようになります。
 


それは、
 
コツの中に重要な本質が含まれているからです。
 


「肩の力を抜こう」。仕事からスポーツ、
 
日常生活まで、よく聞かれるアドバイスです。


 しかし、
 
そうアドバイスされて即肩の力を
 
抜ける人はほとんどいないでしょう。
 


 中には、
 
意識しすぎて、
 
肩がよりガチガチになってしまう人もいます。
 


あるとき、
 
テレビで元メジャーリーガーのイチロー氏が
 
「肩の力を抜きたいなら、
 
膝の力を抜かないといけない」
 
という話をしていました。
 


「そうか!」と思い、以降、
 
肩に力が入る場面で膝の力を抜くようにしたところ、
 
本当に肩の力を抜けるようになりました。
 


これは、
 
イチロー氏が「からだはすべて
 
連動している」という本質を把握し、
 
大切にしてきたからこそできたアドバイスです。
 


 読解という観点で言うなら、
 
その道に精通している人や上手な人、
 
得意な人に「コツを聞く」ことによって、
 
物事の本質理解へと行き着きやすくなります。
 
 


 
 
 
 
 
営業がうまくいかない。
 
 
接客が上手にできない。
 
 
◯◯の腕が上達しない。そんなときこそ、
 
本質を含むコツをつかみ取りにいきましょう。
 


最短距離で答えを得るためには、
 
「〇〇がうまくいきません。
 
どうすればいいですか?」と聞くよりも、
 
 
「〇〇がうまくいきません。
 
 
コツを教えてもらえませんか?」と
 
単刀直入に聞くほうがいいでしょう。
 


なお、普段からあらゆる事象に対し、
 
「これをうまく活かす
 
(上達する・得意になる)コツは何だろう?」と
 
考えるクセをつけましょう。
 


そもそも本質からズレたところにコツはありません。
 


コツへの意識を高めることは、
 
本質への意識を高めることでもあります。