2025/4/6

乳幼児の脳スキャンにより「人間が記憶を形成し始めるタイミング」が明らかに

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

乳幼児の脳スキャンにより

「人間が記憶を形成し始める

タイミング」が明らかに

 
 
 
 
 


ほとんどの人は3歳以前の記憶が残りづらくなっており、

この症状は「幼児期健忘」と呼ばれています。

 

幼児期健忘は、

「3歳以前に記憶がない」というわけではなく

「3歳以前は記憶が定着しづらい」ため

起きるものとされているのですが、

乳幼児の脳を核磁気共鳴画像法(MRI)で

スキャンすることで、

人間がいつから記憶を形成し

始めるかが明らかになりました。

 




 

 

大脳辺縁系の一部である海馬は、

人間の記憶にとって極めて重要な器官です。

 

 

海馬が損傷すると、

記憶障害などを引き起こすことも明らかになっています。

 

ただし、

幼少期の海馬は発達途上にあるため、

科学者は「乳幼児が記憶を形成するには

海馬が未熟過ぎる」と考えてきました。

 



記憶に関する研究を行う

ニコラス・ターク・ブラウン氏は、

 

「乳幼児期の記憶が全くないわけではありません。

 

実際、幼少期は言語を学ぶ時期であり、

歩き方を覚えたり、物の名前を覚えたり、

社会的な関係を築く時期でもあります。

 

 

多くのことを学ぶ時期でありながら、

何も覚えていないということが

あり得るのでしょうか」と語っています。

 

 

 

 

 

 


記憶に関する何十年にもわたる研究により、

エピソード記憶を司るのは

海馬であることが判明しています。

 

 

エピソード記憶のおかげで、

人間は「パーティで知り合った人」

「車を駐車した場所」

「3日前の夕食に食べたもの」

などを思い出すことが可能です。

 



日常の経験はすべて、

海馬の神経連絡上で符号化されています。

 

記憶痕跡と呼ばれるニューロングループが、

さまざまな記憶を捕捉し、

 

互いに混ざり合わないよう

分離して保存しているそうです。

 

 


脳は一度情報を符号化すると、
 
睡眠中に重要な記憶を長期記憶に変換します。
 
 
 
新しい課題を学習した後に眠るげっ歯類と
 
 
人間を対象とした研究では、
 
 
夜間の睡眠中に脳の海馬が活性化して
 
いることが明らかになっており、
 
 
 
睡眠後に記憶に関する
 
パフォーマンスが向上することも
 
明らかになっているそうです。
 
 
 


こうして脳に定着した記憶を「想起」することで、
 
記憶は思い出されることとなります。
 
 
 
しかし、
 
 
上記の記憶が定着するまでの一連の流れのうち、
 
 
いずれかで失敗すると、
 
記憶を正しく思い出すことができなくなるそうです。
 
 
 

 

 

 

コロンビア大学とイェール大学の研究チームは、

記憶に関するタスクをこなす生後4~25カ月の

乳幼児26人の脳をMRIでスキャンするという

実験を行いました。

 

 

具体的には、

MRIを用いて脳活動に関連した

血流動態反応を視覚化するfMRIで、

 

 

脳の酸素レベルを測定することで、

局所的なニューロシグナル伝達を調査しています。

 



また、過去の研究から乳幼児は

 

「新しい物体よりも過去に見た物体や

画像をじっと見つめることを好む」ことが

明らかになっているため、

 

研究チームは乳幼児が

「過去に見たことのある写真」と

「見たことのない新しい写真」を用意し、

乳幼児の目の動きも監視しました。

 


研究チームは被験者1人あたり

平均約8分間、

 

海馬の酸素レベルを測定することに成功。

 

 

その結果、

乳幼児は一度見たことのある写真を見た際に、

 

海馬の酸素レベルが急増することが

明らかになっています。

 

 

ただし、

すべての乳幼児がそうというわけではなく、

1歳未満の乳幼児の間では

海馬での酸素レベルの急増は

検出されませんでした。

 



また、

1歳以降の乳幼児は新しい写真と比べて、

一度見たことのある写真の方を

よりじっと見つめるのに対して、

 

1歳未満の子どもは「新しい写真」と

「一度見たことのある写真」のどちらを

好むという傾向は見られませんでした。

 

このことから、

子どもは生後12カ月頃から記憶を

符号化し始めることが明らかになっています。

 

 

 

 

 

 

 

この結果は乳幼児が1歳頃から

豊富な記憶を獲得できることを

示しているわけではありません。

 

 

しかし、

記憶と海馬に関する研究を進めることで、

幼児期健忘に関する詳細が

明らかになる可能性があります。

 

  

<参考:>