宇宙のどこで生命のもとになる有機分子が作られ、
どのように地球に運ばれてきたのか。
天文学の大きな謎のひとつとされているが、
その解明の鍵を握るのが「銀河の雪」だ。
新潟大学と東京大学による研究チームは、
そうした雪に包まれた2つの氷天体を解析した。
これまで知られているどの氷天体とも特徴が
異なる謎の天体だが、
新たな有機分子生成の場である可能性が高い。
銀河には、
氷が作られる領域がある。
炭素、酸素、ケイ素、鉄などの微粒子「星間塵」に、
極低温状態で原子や分子が付着して
氷の粒「星間氷」になる。
雲の中で雪が作られるのと同じ原理だ。
この星間氷の中は密度が非常に高いため、
生命の構成要素である複雑な有機分子が生成されやすい。
こうした星間氷は、
星の誕生前の分子雲や星の形成途上で多く見られ、
また、
激しく質量を放射する年老いた星でも見ることができる。
新潟大学自然科学系の下西隆准教授、
東京大学大学院理学系研究科の尾中敬名誉教授、
左近樹准教授らからなる研究チームは、
2021年に赤外線衛星「あかり」によって
発見された水や有機分子を含む
星間氷に包まれた2つの氷天体を
アルマ望遠鏡でさらに詳しく調べたところ、
これらが放つ電磁波の分布が、
形成段階の若い天体のものとはかけ離れていた。
どちらかと言えば年老いた天体の分布に近いが、
年老いた天体の星間氷に有機分子は含まれない。
さらに、
サイズはコンパクトながら、
周囲に放出されるガスの一酸化ケイ素の濃度が
異常に高い
(激しい衝撃波で星間塵が破壊されている)ため、
ガスをかき乱す激しい
エネルギー源があると考えられる。
これらの特徴は、
これまでに知られているどの氷天体とも異なり、
従来の観測結果では説明がつかない。
これらが新たな有機分子生成の場である
可能性が高いのだが、
今のところ正体はまったく不明という
神秘の雲に包まれている。
観測精度が上がれば新たな発見があり、
生命誕生の謎の解明に一歩近づくものの、
同時に謎も深まる。
とことん追究していった先には
何があるのだろうか。
宇宙探査の夢はつきない。
<参考:>