2025/3/12

もしも「地球外生命体」に出会えたなら、 考えられる「意外なかたち」… SF映画のイメージとは大違い

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
もしも「地球外生命体」に
 
出会えたなら、
 
考えられる「意外なかたち」…
 
SF映画のイメージとは大違い
 
 
 
 
 

世界中で盛んに行われている

「地球外生命体」の研究。

 

なぜ、

彼らは地球外生命体を探しているのだろうか……。

元アメリカ航空宇宙局(NASA)研究員で、

 

著書に『やっぱり宇宙はすごい』がある

佐々木亮氏が、

地球外生命体を探すことの

本当の目的について解説する。

 

 

私たち自身を知ることに繋がる

 
 

研究者たちはなぜ地球外生命体を

探しているのでしょうか。

 

 

もちろん、

夢とロマンだけでは研究とは言えませんし、

研究を進めるためのお金を

確保することも出来ません。

 

 

世界中で地球外生命体の研究が

盛んに行われているのは、

 

やはり地球外生命体やそれらが

生きられる環境を知ることは、

 

私たち自身を知ることに

繋がっていると考えられているからです。

 

 

生命が誕生する条件は、

「液体の水、有機物、エネルギー」です。

 

ただ、これはあくまで地球上での

条件から考えたものです。

 

たとえば、

地球外の星Aで新たに生命が

見つかったとしましょう。

 

星Aは、私たちが知っている生命が

生きる星の2例目になりますね。

 

 

そのとき、

この発見から得られた知見と、

地球の生命とを比較して出てきた共通点や

相違点を見ることで、

 

生命が誕生する条件をまた新たに

考え始めることができます。

 

地球上の生命しか知らずに私たちが

立てた生命誕生の3要素に、

もしかすると新しい要素が加わったり、

あるいは前提が覆されたりする可能性もあるのです。

 

 

つまり、

地球外生命体の探査には、

今までは気づいていなかった地球の

特性や地球生命の起源を知る手がかりを

見つけることへの期待が込められているのです。

 

 
 

最初に見つかるのはおそらく……

 
 

そもそも、

地球外生命体と言われて、

どんな姿をイメージしてますか? 

 

SF映画でもおなじみの灰色の肌と

大きなつり目が特徴的な

「グレイ・エイリアン」や

 

大きな頭と細長い手足を持った

「タコ型宇宙人」を思い浮かべる方が多いでしょう。

 

 

 

実際のところ最初に見つかるのは、

私たち人間の姿に近いものではなく、

 

微生物のような、生まれたばかりの

地球にいたような生命ではないかと考えられています。

 

たとえば、

強い放射線や高温・極低温にも耐えられる

「地上最強の生物」とも言われる

クマムシみたなものかもしれません。

 

 

実際に見つかっているわけではないので、

妄想を膨らますのも自由です。

 

 

こういうところに宇宙の面白さが

あるのかなぁと思うことは多くて、

 

生物学に詳しい友人と、

こういう条件ならこういう形になりそうだよね、

 

と観測で見えている宇宙の姿と実際の

生物研究で見えている知見をすり合わせる議論は、

 

何ものにも代え難い面白さがありました。

 

生態系の基礎になる環境も、

地球と似ているかもしれないし、

全く違うかもしれません。

 

 

もし地球外生命体が、

地球と同じような条件で見つかるのであれば、

日光のエネルギーを利用して酸素を生み出したり、

 

水を蓄えられたりする植物の存在も

重要になってきます。

 

地熱の影響を受ける場所以外にも、

適した場所があるかもしれません。

 

 

 

火星でも生きられる「コケ」がある

 
 

たとえば、

高い耐久力を持っているコケです。

 

実際に行われた面白い実験があります。

植物の「シントリキア・カニネルウィス」は、

 

砂漠や南極付近のような比較的厳しい

環境にも生息していますが、

 

このコケ植物を火星が再現された

環境にさらす実験が行われました。

 

 

 

火星の表面は地球とは大きく

異なる要素が多くあります。

 

たとえば放射線。

地球の地表は大気によって、

 

宇宙からの放射線から守られています。

 

しかし、

大気が非常に薄い火星では

地球より強い放射線が降り注ぐことになります。

 

そして、

皆さんのイメージ通り、

海や川は失われ、乾燥しきっています。

 

温度変化も大きいです。

 

さすがのコケでも、

そんな荒地には、

生えているイメージが湧きません。

 

しかし実験の結果、

コケ植物「シントリキア・カニネルウィス」は

その環境で7日間は生存することができました。

 

さらに、水を与えると、

30日後には元どおりに元気を

取り戻せることも判明しました。

 

休眠と復活を繰り返せば、

水を得られない時期があったとしても、

長い期間存在することができたのです。

 

 

この結果からさまざまな未来への

期待が湧いてきます。

 

海底や温泉付近での生物誕生のきっかけは

検討されているものの、

その後どういう場所に生息するのかは

また別の話です。

 

 

こういった厳しい環境に生息できるコケがあれば、

水を蓄えたり光合成などで酸素などを

与えてくれたりするので、

生息場所を広げられそうです。

 

 

また、

今後人類が宇宙進出していくとき、

たとえば火星移住を検討したときに、

 

貯水能力と酸素供給を担う

植物としても期待できます。

 

今はカラカラの火星ですが、

人類が進出することで、

緑に覆われた惑星になっているかもしれません。

 

 

 

 
 
 
 

<参考:佐々木 亮>