2024/4/11

メタボリックドミノの左側のラインが血糖異常でした。 日本にはどれくらいの血糖異常者がいるでしょうか。

 
 
 
 
 

メタボリックドミノの左側のラインが血糖異常でした。

日本にはどれくらいの血糖異常者がいるでしょうか。

 

 

厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、

日本には、

血糖異常(糖尿病または糖尿病予備軍)

と判断される人が約2000万人います。

 

それは国民の約6人に1人が

血糖異常者ということになります。

 

40歳以上に限ってみると、

3〜4人に1人、という数です。

 

 

糖尿病・糖尿病予備軍の人は

どれぐらいいる?

 
 

"糖尿病・糖尿病予備軍"とは、

正確には「糖尿病が強く疑われる人」と

「糖尿病の可能性を否定できない人」のこと。

それぞれ基準は次のとおりです。

 

 

・糖尿病が強く疑われる人:

空腹時血糖値が126mg/dl以上、

食後血糖値が200mg/dl以上、

ヘモグロビンA1cが6・5以上


・糖尿病の可能性を否定できない人:

空腹時血糖値が110〜125mg/dl、

食後血糖値が140〜199mg/dl、

ヘモグロビンA1cが6・0以上6・5未満

 

予備軍1000万人、

糖尿病1000万人で合わせて2000万人です。

 

 

 


 
 
 
 
 
 
しかし、この数値は、
 
あくまでも空腹時血糖値が
 
異常になって以降の方たちの数です。
 
 
 

糖質疲労(食後高血糖)の人数を

正確にカウントした日本の学術データは

存在しないのですが、

中国人では成人の2人に1人だったという

データが存在します。

 

 

なお、糖尿病にはインスリン分泌細胞が破壊され、

短い期間のうちにインスリンが全く分泌できなくなる1型と、

 

分泌する能力はあるものの、

分泌量が不足したり、

インスリンのはたらきが弱くなったりする2型、

そしてそれ以外の特定の

機序によるものがありますが、

日本人の場合、95%は2型です。

 

 

本稿でも、とくに記載がない場合、

2型糖尿病について書いてあるとご理解ください。

 

 

 

欧米の人と、

日本人の血糖異常の人の明らかな違いは、

日本人は太っていない人が多いということです。

 

糖尿病を発症した人のBMI(体格指数)は

平均24・4。

 

日本で肥満とされる25を超えていません。

 

「血糖異常=太っている人がなるもの」

というイメージは、

日本ではあてはまらないのです。

 

 

その理由は、

日本人はインスリンの分泌能力が

もともと弱いためです。

 

欧米人の太るメカニズムと

日本人の糖質疲労とは、

糖質の過剰摂取という点で同様です。

 

 

欧米の人の場合、

インスリンの分泌能力が高いので、

糖質を大量にとると、インスリンも大量に分泌され、

そのはたらきで糖が脂肪にどんどん取り込まれ、

肥満になります。

 

肥満になって、

脂肪細胞から分泌されるホルモン

(アディポカインといいます)の影響で

インスリンのはたらきが邪魔される

ようになってから、

血糖異常につながります。

 

 

一方、インスリンの分泌能力が弱い日本人は、

ある程度の糖質をとるとたちまち

インスリン分泌が追いつかなくなり、

太る前に、

血液に糖があふれる高血糖となってしまうのです。

 

糖質疲労のある人で、

努力のわりにやせられないという

経験のある人がいるとすれば、

食後高血糖は若干改善したとしても、

なお最大限にインスリンを分泌し

続けてしまっているからかもしれません。

 

 

 

 
 
 
 
 
 

食後高血糖が長く続いて、

糖尿病になってしまうのは、

「糖毒性」と言って、高血糖自体が

インスリン分泌を低下させ、

インスリンのはたらきを弱め、

高血糖をさらに増悪するからです。

 

この作用も、

起きてから短期間であれば可逆的ですが、

長期(年単位)におよぶと

不可逆的になると考えられています。

 

 

そして肝臓が生産するブドウ糖量も

250g/日程度に増え(健康な人は約150g/日)[53]、

高血糖状態が常態化してしまうようになります。

 

 

食後だけではなくて、

朝食前の血糖値から高血糖になるのです。

 

その先では数年以内に糖尿病になると考えられています。

 

 

糖尿病に進んでしまうと、

なかなか完治するというところまでは戻りません。

 

だからこそ、

糖質疲労の段階で気づき、手を打つべきなのです。

 

 

糖尿病になってしまったら、

合併症(マクロアンギオパチーとミクロアンギオパチー)

の発症を防ぐため、

血糖値をコントロールする治療をすることになります。

 

しかし、

すでに糖毒性があるため、

食事療法と運動療法だけではうまくいかず、

それ相応の数の薬剤に頼らざるを得なくなるのです。