2025/6/7

実はすごい快挙。原子の粒が自由に動く様子の撮影に成功

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

実はすごい快挙。

原子の粒が自由に動く

様子の撮影に成功

 
 
 
 
 
 
実はすごい快挙。原子の粒が自由に動く様子の撮影に成功

物理と聞くと、難しそうって思いませんか?

 

少なくとも私は難しそうな印象を抱いています。

 

だから選択科目で物理か生物かを選ぶときに、

迷わず生物を選択したんです。

 

だって生物の方が眼に見えるものが多いし、

想像しやすいから。

 

物理ってそこに存在しているはずなのに見えないものを、

理論やデータで理解するものだと解釈しています。

 

想像力をフル活用しないといけないから、

難易度が上がるような気がしたんです。

 

 

でも、これからは違うかも。

 

だって科学ニュースサイト Science Alertによると

「自由に動く原子」の撮影に成功したのですから。

 

 

そもそも原子って何?

 

「原子(atom)」とは、

この世のすべてのものを作っている

小さな粒のこと。

 

スマホもPCも、空気すらも原子でできているんです。

 

 

でも、原子の粒子は約0.1ナノメートル

(1ナノメートル=0.000000001メートル)と

めちゃくちゃ小さいため、

 

「光」を使ってものを見る仕組みの

一般的な顕微鏡では見えません。

 

 

だって原子は光の波長

(400〜700ナノメートル)よりも小さいから、

 

光を当てても跳ね返ってこないんですよ。

 

しかも、

原子は常に動いています

 

物質の温度が絶対零度(-273.15℃)にならない限り、

原子は動きを止めません。

 

常にバラバラに動いている極小の原子を見るのは、

今までとても難しかったんです。

 

 

 

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原子ってこれまでも

見られていたの?

 
 

見ることはできていました。

 

でも、電子顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡(STM)、

原子間力顕微鏡(AFM)といった

特別な顕微鏡を使わなければならないし、

見える原子は限定的なものでした。

 

 

電子顕微鏡:原子の並び

(結晶構造)は見えるけれど、

 

1個1個を細かく見るのは難しい

 

走査型トンネル顕微鏡(STM):個々の原子の配置が見える

 

原子間力顕微鏡(AFM):原子の表面をなぞって形を調べる

 

これらの顕微鏡では、

固定された原子しか見ることができないんですよね。

 

 

今回の研究では動いている原子を

そのまま撮影できたので、

控えめに言っても「すごすぎる」ってことなんです。

 

 

「自由に動く原子」を捉えた!

 
 

この「すごすぎる」「自由に動く原子」を撮影したのは、

マサチューセッツ工科大学の研究チームです。

 

 

 

 

MIT-FreeAtoms-02-press
 
 
上部:動いていた原子を光の力で
 
一瞬で固定して撮影した様子
 
 
下部:凝縮やスピン状態、ペア形成など、
 
量子の現象が顕微鏡で確認された
 
どうやって撮影したのかをざっくり説明します。

 

 

1)レーザーの光で冷やして、原子の動きをゆっくりにする

 

2)冷やされた原子をレーザーの光で浮かせて、雲のように集める

 

3)「Atom-resolved Microscopy

(原子分解能顕微鏡)」という原子レベルの

小さな構造も観察できるし撮影もできる

特殊なシステムで撮影する

 

 

これまで固定されていない原子の動きは、

理論上でしか理解されていなかったので、

 

動いている姿がそのまま撮影できたのはすごいことなんです。

 

 

すでに大発見が…

 

撮影できただけでもすごいのに、

さらなる発見もありました。

 

 

それが、「ボース=アインシュタイン凝縮」と

ド・ブロイ波」を確認できたこと。

 

 

超簡単に例えるなら、

「地球は丸いって話には聞いていたけれど、

 

宇宙から撮影したら本当に丸かった! 」

というレベルの確認ができたってことです。

 

 

 

「ボース=アインシュタイン凝縮」とは、

物質が絶対零度に近い温度にまで冷やされると、

 

複数の原子がまるで1つの波のようにまとまって

振る舞う現象のことです。

 

 

原子は普段バラバラに動いていますが、

極限まで冷やすと、すべてが同じ動きをし始めて、

 

一体化した巨大な波のようになるのが観察できたんです。

 

 

「ド・ブロイ波」は1924年にフランスの物理学者

ルイ・ド・ブロイが提唱した

「物質は波のような性質を持っている」という概念です。

 

 

ド・ブロイ波はこれまでの実験でも確認されていました

(1927年の二重スリット実験など)が、

 

今回の技術では動いている状態を

リアルタイムで撮影できたんですよ。

 

 

量子コンピューターへの影響

 
 

今回の発見は大発見だっただけでなく、

量子コンピューターの開発にも

プラスの効果が期待されています。

 

 

例えば、

エラーの原因の発見。原子が見えることで、

量子ビットのエラー原因を追跡できるようになります。

 

 

あと、最適な動きの確認ですね。

 

理想的な量子ビットの動きが観察できれば、

計算精度も向上するでしょう。

 

 

実用化はまだ先ですが、

今まで見えなかった部分が

見えるようになったことで、

開発スピードが加速するかもしれません。

 

 

 

<参考: >