ニュースレター

2018年 9月 17日発行
地球環境は今・・・・古代世界に見る地球温暖化


古代期における気温上昇の原因をめぐっては、
当時頻発していた火山噴火により大洋底が溶岩で覆われ、
巨大な「洪水玄武岩」が形成されたとする主張が有力視されている。

同時期にはグリーンランドがヨーロッパ北西部から分離し始め、
北大西洋が形成された。

以上の溶岩の流出イベントと、炭素の放出、温暖化との関連は
Marcus Gutjahr博士(サウサンブトン大学の元博士研究員、現在はGEOMAR
ヘルムホルツ大洋研究センターに所属)
により証明されている。

同氏は暁新世一始新世境界温暖極大期における海水のpH濃度変化に関する
記録を作成。

古代の海に生息していた有孔虫の化石燃料に含まれるホウ素の同位体のバランス
変化を測定することにより成功した。

炭素の同位体の変化に着目することは、炭素を特定するうえで
重要なプロセスであるという。

研究グループは火山から!万ペタグラムを超える量の炭素を検出。

これは化石燃料を燃焼させたケースを上回るレベルであり、
その30倍に相当する。

独自に開発したコンピューターモデルを使った実験では、
大気中のCO2濃度が800ppmから2000ppm以上まで
増加していたことを突き止めた。

また、恐竜が生息していた2億5200万年前の地球の生態を扱った別の研究によると、
ベルム紀後半の赤道直下は多種多様な生物の生息地であった。

かってイタリア北部のブレッテルバク谷は赤道の近くに位置していた。

生物の数においてはとりわけ特筆すべき点はないが、とにかく多種多様が
その地に集まり、生息していた。

恐竜のすぐ横で、ワニと同サイズの両生動物が寄り添うように共生するケースも
珍しくなかったという。

ちなみに、これらの生物は恐竜時代の終焉をもって消滅してしまった。

なお、ベルム紀後半の赤道直下になぜこれほど多種多様な生物が暮らしていたのかは
不明であるけれども、砂漠、雨林地帯を問わず、気候変動が生命体に消極的な影響を
もたらしたのは確かだ。

これは今回のブルッテルバク谷でのフィールド調査を通じて科学者らが
満場一致で出した結論である。

今回の地球上では前例のない速度で温暖化が進行している。

約6600万年前の地球で起きた事象と、
今まさに起ころうとしている出来事を天秤にかけることは一見無意味に思われる。

とはいえ、古代の生態系に目を向けることで、
地球温暖化の改善へとつながるヒントが得られるかもしれない。

あながち無視できない事実なのだ。


産業の活発化、国民の生活水準の向上と引き換えに深刻化している地球温暖化。

その最大の原因であるCO2排出量は国民の生活が豊かになり始めた
1960年以降急増傾向にある。

オイルショック時には省エネ効果もあってか、CO2排出量が一時的に抑制されるも、
バブル景気を機にCO2排出量が一気に急増、今日に至っている。


近年、世界各地で記録的な猛暑や豪雨、山火事が観測されているが、
温暖化との関連性を示唆する研究者は多い。

国連の気象変動に関する政府間パネル(IPCC)は今年、現行のペースで温暖化が
進行した場合、2040年ころには産業革命前に、比べ1,5度上昇するだろうという
予測を打ち出した。

そこで国連のグテレス事務総長は温暖化への対応策として、
産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えるためにも産業・エネルギー革命の
必要性を強調している。


産業革命を基準に地球温暖化を考える専門家は多い。
ところが、産業革命よりもはるかに昔に、
地球温暖化の兆候が表れていたとする説が一部の科学者の間で囁かれている。

英国のサウサンプトン大学の研究グループによると、
地球温暖化の発端は5600万年前の噴火であるという。
研究内容の詳細は2017年8月30日付の英科学誌「ネイチヤー」に報告された。

研究者らは斬新な地球科学的測定法と地球気候モデルを融合した方法を用いて、
暁新世(約6600万年前~約5600万年前)から始世紀(5600年前~約3390年前)
にかけての時代の気温変化を調査、

その結果、25000年前に比べると低い水準あるけれども
「暁新世~始新世境界温暖極大期」と」呼ばれる期間内において、
大気中のCO2が倍増していたことを明らかにした。

「暁新世~始新世境界温暖極大期」に起きたこの現象は、
6600万年の歴史の中で最も顕著な温暖化現象である。

その後、地球全体の気温上昇は約15万年にわたり続き、
その結果気温が5度上昇した。

国連が想定している今世紀末の気温上昇をはるかに上回るレベルだ。



<参考:Beauty&Ecoo one>

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